家造りの豆知識-5 (建築士について)
建築士について
建築士(けんちくし)
建築士とは
建築士法(1950年法律第202号)に拠って定められた日本の国家資格。
建物の設計、工事監理等を行う技術者であると定義されている。


建築士の業務
建築士の仕事は、大きく3つに分かれる。
  意匠系(建物の配置やデザインなどを決める)
  構造系(構造的な部分を受け持つ)
  設備系(電気や空調などの設備関係を受け持つ)


建築士資格の内容
建築士には、一級建築士、二級建築士、木造建築士、構造設計一級建築士、設備設計一級建築士の5種類があり、その資格により設計監理できる建築物に違いがある。


建築士とその資格
一級建築士
一級建築士の業務範囲
次のような複雑・高度な技術を要する建築物を含むすべての施設の設計および工事監理を行うことができる。
(建築士法3条)

①学校・病院・劇場・映画館・公会堂・集会場・百貨店の用途に供する建築物で延べ面積が500平方mを超えるもの

②木造建築物または建築の部分で高さが13mまたは軒の高さが9mを超えるもの

③鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロック造もしくは無筋コンクリート造の建築物または建築の部分で、延べ面積が300m2、高さが13m、または軒の高さが9mを超えるもの

②延べ面積が1000m2を超え且つ階数が二階以上のもの。

受験資格
試験では法で定める設計・施工・工事監理に複雑高度な技術を要する建築や二級建築士の指導に携わるのに必要な知識・技術があるか否かが問われる。

①大学(新制・旧制)の建築または土木課程を卒業後、実務経験(大学院を含む)2年以上

②職業能力開発総合大学校建築システム工学科を卒業後、実務経験2年以上

③職業能力開発大学校専門課程又は職業能力開発短期大学校の建築科又は住居環境科の卒業生が、職業能力開発大学校応用課程または職業能力開発総合大学校東京校応用課程の建築施工システム技術科を卒業後、実務経験2年以上

④3年制短期大学(夜間は除く)の建築または土木課程を卒業後、実務経験3年以上

⑤2年制短期大学または高等専門学校(旧制専門学校を含む)の建築・土木課程卒業後、実務経験4年以上

⑥職業能力開発大学校専門課程又は職業能力開発短期大学校の建築科又は住居環境科を卒業後、実務経験4年以上

⑦二級建築士取得後、設計・施工・工事監理等の実務経験4年以上

⑧建築設備士、建築設備士としての実務経験4年以上


一級建築士試験の合格率

年度 学科合格率 製図合格率 総合合格率
2008年(平成20年) 15.1% 41.7% 8.1%
2007年(平成19年) 11.3% 49.4% 8.0%
2006年(平成18年) 10.0% 31.4% 7.4%
2005年(平成17年) 25.0% 30.3% 11.1%
2004年(平成16年) 25.2% 33.5% 10.5%
2003年(平成15年) 14.5% 40.3% 8.1%
2002年(平成14年) 10.6% 36.6% 6.4%
2001年(平成13年) 12.7% 33.0% 6.9%
2000年(平成12年) 18.3% 44.3% 11.4%
1999年(平成11年) 18.1% 45.6% 11.7%
1998年(平成10年) 18.6% 46.3% 11.6%
1997年(平成 9年) 18.0% 47.6% 11.7%
1996年(平成 8年) 17.8% 47.0% 11.9%
1995年(平成 7年) 19.0% 47.0% 11.9%
1994年(平成 6年) 17.9% 49.9% 12.1%
1993年(平成 5年) 17.5% 48.8% 12.0%
1992年(平成 4年) 19.1% 47.3% 12.4%
1991年(平成 3年) 19.2% 47.5% 12.4%
1990年(平成 2年) 18.6% 47.7% 12.2%
1989年(平成元年) 18.1% 48.0% 11.8%
1988年(昭和63年) 18.5% 48.5% 12.3%
1987年(昭和62年) 18.3% 49.1% 12.3%
1986年(昭和61年) 17.4% 49.7% 12.1%


二級建築士
二級建築士の業務範囲
都道府県知事の免許を受けて二級建築士の名称を用いて設計工事監理等の業務を行うものである。
(建築士法2条3項)
具体的には、一定規模以下の木造の建築物、および鉄筋コンクリート造などの建築物の設計、工事監理に従事する。

①学校・病院・劇場・映画館・公会堂・集会場・百貨店などの公共建築物は延べ面積が500平方m未満のもの

②木造建築物または建築の部分で高さが13mまたは軒の高さが9mを超えないもの

③鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロック造もしくは無筋コンクリート造の建築物または建築の部分で、延べ面積が30m2~300m2、高さが13mまたは軒の高さが9m以内のもの

④延べ面積が100m2(木造の建築物にあっては、300m2)を超え、又は階数が3以上の建築物(ただし、第3条の2第3項に都道府県の条例により規模を別に定めることもできるとする規定がある)。

受験資格
試験では個人住宅など日常生活に最低限必要な建築物の設計・施工・工事管理に必要な知識・技術があるか否かが問われる。

①大学(旧制大学・短大を含む)又は高等専門学校(旧制専門学校を含む)の建築課程を卒業したもの

②職業能力開発総合大学校建築システム工学科を卒業したもの

③職業能力開発大学校専門課程又は職業能力開発短期大学校の建築科又は住居環境科を卒業したもの

④大学の土木課程卒業後、実務経験1年以上

⑤高等学校(旧制中学校を含む)建築・土木課程卒業後、実務経験3年以上

⑥職業能力開発校建築系の科を卒業後、実務経験2年以上、3年以上、あるいは4年以上(科によって異なる)

⑦義務教育終了後、実務経験7年以上

⑧建築設備士資格を有する


木造建築士
木造建築士
都道府県知事の免許を受け、木造建築士の名称を用いて、木造の建築物に関し、設計、工事監理等の業務を行う者である

木造建築士は、木造建築物で延べ面積が300m2以内、かつ2階以下のものを設計・工事監理ができる。

受験資格
二級建築士と同じ


構造設計一級建築士

構造設計一級建築士
一定規模以上の建築物の構造設計については、構造設計一級建築士が自ら設計を行うか若しくは構造設計一級建築士に構造関係規定への適合性の確認を受けることが義務付の業務を行う者である。
一定規模以上とは高さ20mを超える建築物や構造適合性判定機関の構造審査にかかるほとんどの建築物を示す。


設備設計一級建築士
設備設計一級建築士
一定規模(階数3以上かつ5000m2)以上の建築物の設備設計については、設備設計一級建築士が自ら設計を行うか若しくは設備設計一級建築士に設備関係規定への適合性の確認を受けることが義務付の業務を行う者である。


その他
上記以外の小規模な建物は、建築士の資格がない者でも設計できる(建築確認申請は必要)。

木造建築物で延べ面積が100m2以内、かつ2階以下のもの
鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロック造もしくは無筋コンクリート造の建築物または建築の部分で、延べ面積が30m2以下、2階以下で、高さが13mまたは軒の高さが9m以内のもの


管理建築士
管理建築士
建築士事務所の常駐の建築士で事務所の技術的事項を管理する者のこと。
建築士事務所事務所の開設者、経営者である必要はない。
このため、無資格者であっても建築士を管理建築士として雇用することで建築士事務所を開設し、経営することができる。
2008年の建築士法改正により、建築士としての3年以上の実務経験の後、講習を受けることが管理建築士の必要条件となった。


参考資料
(有)アダック:社内資料  ウキペディア:「建築士」
             (有)アダック建築設計事務所  
 〒683-0854 島根県安来市荒島町3502-12
 TEL (0854)28-8566   FAX (0854)28-6637
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